2013年2月18日月曜日

『貧困旅行記』 つげ義春



 つげ義春のマンガのなかには夢を題材にしたシュールな作品や、
私小説的な作品もあるが、氏は旅行、それも世間からは忘れ去られたような
ひなびた所に出かけるのが好きなようで、
そういった自身の体験を題材にしたマンガもいくつかある。
そんな旅好きなつげ義春のタイトル通りのリッチではない旅行記である。


 1作目は若き日のつげ氏が九州を旅する話で映画にもなった『蒸発旅日記』。
つげ氏のファンである離婚暦を持つ看護婦との出会いを目指して、九州へ赴きあわよくば
結婚しようと考えて旅立つのだが、途中で不安になったり列車の中の女性に
軽い恋心をもったりと映画化されただけあってエンターテイメントとしてもたのしめる。
この時のつげ氏は著書のなかでも書いているが、
自分自身でも信じられないような大胆な行動をとっており、
それ故にこの著書の他の作品に比べてドラマチックな展開になっている。

 親子3人での旅行記も数篇あり、マンガ家としての収入が乏しく、
自身の心身不調もあり貧困旅行にふさわしく近場での旅行記になっている。
自身が子供のころに継父からつらい思いを受けさせられてきたためか、
家族旅行のなかでは自分の子供への接し方に愛情を窺い知ることが出来る。


 つげ氏は旅に出て自分の価値観にあった場所に出会えば、
ここに住んでみようか、住めばどういう暮らしになるのかと空想しながら旅をしている。
旅とは日常からの現実逃避の側面もあるが、旅先での場所に棲みつけば
またそこから新たな日常がはじまるわけで、その生活にも嫌気がさしてくれば
また旅をはじめるのだろう。


 お金をかけない(お金が無い?)旅行であるがために旅先での人間関係も含め、
金銭では隠れてしまっているものが表れてきて、様々な体験が出来ている。
これを読むとお金をかけない旅行はある種の冒険旅行であると思えてくる。
昭和40年代から50年代の旅行記としてのノスタルジック感があり
貧困という言葉にまとわりつく切なげな感じもあり、
つげ義春の世界を満喫できる1冊であった。



『貧困旅行記』 つげ義春



メディアと広告戦略

テレビをあまり見なくなった。
特に地上波の放送を見る時間は、昔に比べて、大きく減っている。
以前は1日に2時間、3時間、ひどい時にはほとんど1日中テレビを見ていたが、
今はせいぜい1時間以内で、1時間以上見るとすればCSで放送されていた映画
を録画したものを見るぐらいだ。

テレビを見なくなった理由は、番組が面白くなくなったからだ。
わざわざ面白くもないテレビに時間を使うぐらいなら本を読んだり、
ネットをしたりして、他のことに時間を使っているほうがましだ。

ではなぜ、地上波放送が面白くなくなったのか。

昔は家で楽しめる娯楽といえば、テレビが大きな位置を占めていた。
コンテンツにしても民放とNHKが提供するもののみで、
限られたものしか選択できず、必然的に視聴率は高くなる。
テレビにCMを流しているスポンサーは視聴率の割合に対して
お金を払っているので、視聴率の高い番組だと非常に大きなお金が
テレビ局に入る。
スポンサーとしても、視聴率が高ければテレビで放送するCMの
費用対効果は大きくなり、テレビ局の収入も比例して増加し
番組制作へお金をかけることができていた。

だが今はBSやCSに加えてパソコンやスマートフォンもあり、
ユーザーが選択できるコンテンツが多様化しており、
地上波の視聴率がどの放送局も軒並み低下している。
視聴率の低下に比例し、スポンサーが放送局に
払うお金も減り、番組の制作費も減少して、どんどん
テレビがつまらなくなるという悪循環になっている。
もちろんこの他にも、行き過ぎた自主規制なども
テレビをくだらないものにしている原因だ。 

現在の地上波で視聴率が取れるコンテンツといえば、
オリンピックやワールドカップなどのスポーツぐらいでしかない。

今までは、テレビのCMを見て欲しい商品があれば、
店舗に行って商品を確認して購入していたが、
今は欲しいものがあると、ネットで検索しユーザーの
評価やレビューを参考にして、購入するかどうか決めている。
Googleで何かを検索したときに、広告スペースに表示されるのは、
ユーザーが検索した商品と関連性のあるキーワードを企業が
Googleから購入しており、Googleはこれで大きな利益を上げている。
また検索キーワードと関連性の高いサイトであれば、
検索結果一覧の上位に表示されるので、企業は自社のサイトが
上位に来るようにあらゆる努力をしている。

AmazonではユーザーがAmazonで買い物をすれば、
同じ商品を買った別のユーザーが他にも購入している
商品を提示しており、各個人の消費傾向を分析した
データを大きな武器として各ユーザーへアプローチを行っている。

テレビがマスメディアとしてコンテンツを提供し、
大勢の人たちで共有していた時代は終わっており、
テレビで商品を宣伝しても、昔のような訴求力は失われていっている。
これからは多様化したユーザーの動向を分析して、
ユーザーに則した広告を提供していく企業が
利益を上げ、勝ち残っていくだろう。

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